授業書《世界の国旗》 特設ページ

メールで反応をどうぞ。伝言板に反応をどうぞ。

このページでは授業書の内容について取り上げます。国旗一般についての話題は,こちらでどうぞ。

更新状況

2007.8.11 同じ国旗と国歌の国
2006.9.10 授業書第6版完成。『国旗ROM ver.2.06』発売
2005.4.9 国旗ROM ver.2』発売
2002.10.30 生徒さんたちの「新しい日本の国旗
2002.6.21  
2002.6.12 天球と星座のマーク,似ている国旗
2002.6.5 太陽の旗,緑十字の旗
2002.5.8 十字の旗 マレーシア国旗 ほか多数加筆
2002.5.1 一番横長の国旗 コモロ国名と国旗変更 チュニジア国旗正式制定
2002.4.30 26ぺ「南アフリカ共和国」への疑問
2002.4.25 第5版の出版にあわせて特設ページ開設。ページごとに内容を解説していきます。現在22ぺまで解説。

本ページで使われている国旗の図は特に断りがない限り,
平野孝典さん制作のデータのサイズを小さく改変したものを使っています。
詳細は
『国旗ROM』

■文献

 文献・出典については,こちらをご覧ください。


◎授業のため準備したもの

 

・国旗カード
 下記の「国旗ROM」の国旗データをA4の大きさで印刷したものを用意しました。

 

国旗ROM

 『絵とき世界の国旗』などで図版やレイアウトなどを担当されている平野孝典さんが,国旗などのデータを集めた「国旗ROM」を完成されました。

・授業書《世界の国旗》に出てくる国旗の図版(PDFとJPEG)
・国際赤十字赤新月社の本部などの写真
・世界地図(EPSも)
・世界と日本の人口地図(EPSも)
・『世界の国一覧表』の20年分のデータほか(Excel)

送料とも5000円で分けてくれますので,平野さんまでお問い合わせをどうぞ。



・第二版となりました


 新しい『国旗ROM』は,授業書に出てくる国旗を集めたもので,国旗のサイズがハガキ大となり,価格が3000円です。プラウザーに対応したので,簡単に内容を見ることができ,とっても使いやすくなっています。また初版のものでは,色が変わって見えることがありましたが,それらも修正されています。

 また平野さんのサイトにも様々な国旗情報があります。また『国旗ROM』の更新情報などもありますので,必見です。

http://homepage3.nifty.com/machiya/index.html


・バージョンアップしました

 授業書の改訂に合わせて,「国旗ROM」も2.06版になりました。

 これには「シールキット」がついています。それは授業書の国旗をシールにしたもので,それを授業書に貼り付けることで,カラー版の授業書になるのです。





















・「国旗一覧」生徒用資料
 『イミダス』に載っている世界の国旗一覧を旧ソ連の国旗など,そこに載っていないもの含めて(『世界の国旗』カラー見本より)カラーコピーしました。それをB4厚紙の両面に貼り付けたものを用意しました。

・ビンゴ用国旗カード
 ビンゴ用としてB6サイズの国旗カードを作ってラミネート加工しました。

・ビンゴ用生徒用国旗一覧
 ビンゴ(マッキーノ)用に22ヶ国を選んでA4一枚にまとめたものをラミネート加工しました。

 マッキーノ用に22ヶ国を選ぶのには,ずいぶんと悩みました。ボクなりに考えて,
  「サミット参加国」「日本に近い国」「日本と貿易額の多い国」を中心に選びました。

  「ビンゴ用シート」 BINGO.gif 78KB    左のタイトルをクリックすると表示とダウンロードができます。



◎実際の授業
 生徒さんたちは「マッキーノ」が大好きです。まずマッキーノをします。そのあと授業書に入りました。「おいおい地理の授業になってきたぞ」という声もあがりましたが,たのしんでやってくれています。みんなボクと同じく国旗が好きなのです。色塗りをはじめると,「塗り絵,私大好き!」なんて声もあがりました。
 やってよかったなぁ・・・。



◎授業書解説

 板倉聖宣 『世界の国旗 世界の地理と歴史を考える』 仮説社 97.6 第4版 2002.4 第5版

 基本的に第5版に基づいて解説しますが,第4版のミスプリントなどの情報も載せておきます。

 この解説では,詳しい事情などについてまで調べたことを載せていますが,授業では取り上げる必要はありません


・[問題0]世界の国の数

 予想をしてもらってから,「国旗一覧」を配ります。一所懸命に数えてくれる生徒さんもいます。

・[問題1]四角でない国旗

 ネパール国旗の「星と月」が家臣を,「太陽」が王を表しているのだそうです。

・[問題2]縦横比

 生徒さんたちは「日の丸の縦横比が決まっている」ということに驚きます。この問題も,「国旗一覧」を渡して探してもらいます。『イミダス』の国旗一覧は,カタール国旗の縦横比が間違っているので,注意。

・「国旗のタテ・ヨコ比率」

 それぞれの比率の実際の国旗を見せると良いです。カタール(11:28),スイス(1:1),英国(1:2),日本(2:3),米国(10:19),パラオ(3:5)を用意しました。

一番横長の国旗

 現在のところ一番横長なのは,カタールの11:28ですが,近い未来にこの比率を上回る国旗ができそうです。それはモンテネグロです。

 モンテネグロは現在セルビアとユーゴスラビア連邦を形成しています。もともとモンテネグロとセルビアは同じ国旗を使っていましたが,新ユーゴ成立(1992)のときに国旗の縦横比を変更して1:3としました(セルビアは1:2)。その後もモンテネグロにはユーゴからの分離独立の意志が強く,1988年より国旗の青をセルビアとは違う水色に変更しています。

 こういうわけで,もしもモンテネグロが独立して,現在の国旗をそのまま使った場合(変更の可能性は大きい)は,「世界で一番横長の国旗」となります。

セルビア


by Zeljko Heimer(FOTW)



モンテネグロ

by Pascal Gross(FOTW)



 詳細は,こちらで。




・[問題3]スウェーデンに似た国旗

 「なぜ北欧の旗はみな似ているのか」ということについては何も書かれていません。実は,これらの国はひとつだったことがあるのです。詳しいことは,拙作のレポート「三日月と十字の旗」をどうぞ。「北欧の旗の変遷図」がとてもわかりやすいと思います。

■レポート「十字と三日月の国旗」

 以下の「キリスト教の十字」「イスラムの三日月」をまとめてレポートにしました。まだ第一部のみの完成ですが,公開いたします。副題は「北欧諸国と十字旗」かな。


「十字と三日月の国旗」 crossflags.PDF 248KB レポート本体

「北欧地図」 nordmap.PDF 14KB 参考用地図

「北欧諸国の旗の変遷年表」 norden.PDF 52KB  まとめの一覧表


 これらのファイルはPDF形式です

これらの国の位置関係は,『絵とき世界の国旗』10ぺの図版を見せてあげると良いです。



・[問題4]十字の旗

 授業書に載っている以外の十字の旗も掲示する必要があります。生徒さんは,英国,オーストラリア,ニュージーランド,フィジー,ツバル,トンガ王国,グレナダ,ブルンジ,ドミニカ国,マルタを見つけます。マルタは「紋章が十字」ということで例外としてよいでしょう。
 これらの旗の十字が「キリスト教を表す」と言えるかどうかですが,これらの国々は国民のほとんどがキリスト教徒ですから,キリスト教徒は国旗の中にそのシンボルを見ていることでしょう。しかし,国民に他の宗教の信者がいる場合など,国としては「十字はキリスト教のシンボル」といえないのがふつうですから,公式に「キリスト教のシンボル」としている国はトンガなど少数です。

キリスト教徒の割合

英国

60%

グレナダ

100%

オーストラリア

89%

ブルンジ

67%

ニュージーランド

67%

ドミニカ共和国

95%

フィジー

52%

ドミニカ

92%

ツバル

98%

ギリシャ

98%

トンガ

100%

ジャマイカ

65%

CIA World Factbook 2001


 十字の旗の国の位置関係などは,『絵とき世界の国旗』12〜13ぺに素晴らしい図版があります。しかし『絵とき』では,グレナダを「十字の旗」とはみなしていないようです。FOTWでは,グレナダとブルンジの国旗を「十字の旗」とはみなしていません。


ブルンジ

グレナダ

◎「キリスト教の十字」についての詳しいレポートはこちら





・[問題5]英国の旗

 ユニオン・ジャックの成立については,いろいろと難しい問題があります。一番大きな問題は,「聖パトリック十字はアイルランド王国旗として使われたことがない」ということです。このことについては,こちらをご覧ください。

  板倉聖宣 「英国という王国の成立の歴史」 『たのしい授業』No.136 (『たのしい授業プラン歴史』にも収録) 仮説社

 英国は本当に不思議な国です。板倉聖宣先生のこの記事は,とてもよくまとめられていてノーミソを整理するのに最適です。しかしそこに書かれている内容にまだ納得できないところもあり,自分でも調べてみようと思っています。

 英国の貨幣についての研究,英連邦についての研究は,【世界のおかね】でご覧ください。


・21ぺ イングランド王国の配色が逆(第4版)  ミスプリント
 赤地に白十字となるように塗るように書いてありますが,正しくは白地に赤十字です。

・[問題6]英国旗が入った国旗

 ツバル,フィジーの旗も見せてあげてください。英連邦についての研究は,【世界のおかね】でご覧ください。

・[問題7]3つの旗が入った国旗

 こんな旗を普通知っているわけがありませんから,この旗の載っている「国旗一覧」を使用しているとき以外は,すぐに答えを教えます。オランダの「オレンジ・白・青」の旧国旗も見せると良いでしょう。
 オレンジ自由国とトランスバールの国旗は「赤・白・青」の新オランダ国旗,背景となる全体のデザインは「オレンジ・白・青」の旧オランダ国旗であることにも気がつくとおもしろいです。 

・24ぺ 南アフリカ共和国 第5版 疑問

 第五版で26ぺの最後に「新しい国旗は,黒・みどり・黄色の〈アフリカ民族会議〉の三色旗をモデルにV字型(Victory)を入れたものだそうです」
という一文が入りましたが,これが納得できません。南アフリカの国旗のデザインは,どう見てもVではなくYです。

◎アフリカ民族会議(African National Congress略称ANC)

 南アフリカの政権政党。もともとはアパルトヘイト時代の抵抗組織。1994年の最初の全人種による選挙で政権党となり,新国旗を制定した。ANCの旗は,右の通り(by Pascal Gross, FOTW )で,「黒・緑・金」の三色旗です。

 南アフリカの新国旗は,これまでの英蘭を象徴する国旗にANCの旗がくさびを打ち込んでいるように見えます。図では新国旗の緑の色がANCの旗の緑と違っていますが,実際は同じ緑色でしょう。

 この「Y字形」についてFOTWでは「統一を表す」とありました。

 『Complete Flags Of The World』(DK)には「Y字形は,古いものと新しいものが一緒になって,未来への統一国家の進歩を表す」とあります。

 『The World Encyclopedia Of FLAGS』(Alfred Znamierowski著)には「統一がY字形で表されている」とあります。

 『Flag Lore Of All Nations』(Whitney Smith著)には「Y字形は,多くの部分が一緒になる過去と現在の融合を表している」とあります。


 これらの文献のように,新国旗はANCの旗をモデルにしたのではなく,「英蘭の旗とANCの旗の融合」なのです。そこに「勝利」の意味合いは,ないと思うのですが・・。


◎旧南アフリカ共和国の地図として,『絵とき』14ぺの図が最適です。


・27ぺ [問題8]星条旗に似た国旗

 なぜか授業書では,リベリアの旗の解説しかしませんが,マレーシア国旗も星条旗の模倣であることは明らかです。マレーシアは英国から独立した連邦国家で,独立したときの国旗は構成する11の州を11条の縞と11稜星を表していました。つまり,この旗は星条旗とイスラムのシンボルとの融合なのです。

最初のマレーシア国旗

by Antonio Martins and Rob Raeside(FOTW)




 1963年に三つの州が増えたとき,縞と稜の数をそれぞれ14に増やしました。その後,1965年シンガポールが独立して連邦から抜けたのですが,国旗は変更されずに現在に至っています。「戻って来いよ」という思いがあるのかも知れません。

 「かつて構成していた国などが分離してもシンボルを変えない」というのは,アラブの旗など多くの旗に見られることです。もしハワイ州が独立して連邦を脱退したら,米国旗の星は減るでしょうか。きっと変わらないと思います。



・30ぺ コモロ国名と国旗変更  国旗の更新

 2001年12月に,コモロ回教連邦共和国はコモロ連合に国名を変更し,国旗も変更しました。

by Pascal Gross(FOTW)









・30ぺ チュニジアの国旗の正式制定 国旗の更新

 チュニジアの国旗には,細部が異なるデザインのものがたくさん見られて,混乱していたのですが,1999年7月にチュニジアは国旗の意匠を以下の図のように法制化しました(日本旗章学協会からの情報による)。いままでの国旗と違っているところは,★がすべて三日月に囲まれているところです。しかし,FOTWなどのサイトではこの更新を反映していない。






(by VDCN)



 
チュニジア政府公式サイト(http://www.ministeres.tn/ 仏語)にある国旗は以下の通り。

しかし,これも古いデザインのままのようである。






・34ぺ 赤新月旗

 『たのしい授業』No.221に,赤新月のマークがついた病院と救急車の写真があります。これを見せてあげると良いでしょう。


・34ぺ 赤十字旗

 日本では「緑十字旗」も有名です。工事現場などでは,次のような旗を見ることができます。これらの旗が赤十字旗の影響であることは明らかです。

安全旗

 1919(大正8)年日本で初めての「労働安全週間」を実施するにあたり,そのシンボルマークとして採用されたのがこの緑十字である。
 「十字は欧米では仁愛を,東洋では,福徳の集まるところを意味する。また,緑は,全米安全会議で青地に白十字が,日本では,赤十字と結核予防会の,赤の複十字があるから採用した」 という蒲生俊文の提案による。
 1927(昭和2)年10月,内務省社会局の工場監督主任会議で国として労働安全運動のシンボルとすることを決定した。

労働衛生旗

 労働省労働基準局が,1953(昭和28)年の第4回全国労働衛生週間の際に公募した結果,「緑地に白十字」の図案に決定。

安全衛生旗

 労働安全と労働衛生は密接な関係にあるとの考えから,中央労働災害防止協会によって安全と衛生を1つに象徴した「安全衛生旗」の図案を公募した結果,1965年に現在の図案に決まった。

 ・安全用語集 http://anzenyougo.hoops.ne.jp/
 ・株式会社 更五 http://www.sarago.co.jp/index.html より




・38ぺ 「国旗の中に太陽のマーク」 疑問
 [問題11]で「太陽のマークを大きく出している国旗を探してみましょう」とあるので,生徒さんたちは,それはもうたくさんの太陽のマークがある国旗を探してくれました。でもその次の「お話」で出てくる国旗は,その一部(北朝鮮,台湾,フィリピン,アルゼンチン,ウルグアイ)のみ。しかも「太陽を大きく国旗に描いたものは東アジアの国々に多いのが特徴といえるでしょう。」とあるではありませんか。これにはとっても違和感を感じます。
 そこで下記のような表を作ってみました。また地域の分類と国旗は,外務省のホームページにある「世界の国旗」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/world/kokki/index.html)に従いました。
 うーん,やはりアジアに多いか。(99/9/15)

アジア州 大洋州 アフリカ州 北アメリカ州 南アメリカ州 ヨーロッパ州 NIS諸国
日本,
北朝鮮(?),
台湾,
フィリピン,
ネパール,
モンゴル,
バングラデシュ
キリバス, ニジェール,
マラウイ,
チュニジア(?)
アンティグア・バーブーダ       アルゼンチン,
ウルグアイ
マケドニア カザフスタン,
キルギス,
 でも「北朝鮮の国旗の白丸が太陽を表す」というのは,ちょっと疑問。ボクが調べた限りでは,そういう証拠はみつかりませんでした。もう少し調べてみます。


 吹浦忠正監修 『学習漫画 世界の国旗事典』 集英社 90.11 によると,ますます「太陽のマーク」が分からなくなりました。この本では,韓国・ラオス・バングラデシュの国旗の中にある円も「太陽を表す」(韓国については「太陽と月を表す」)となっているのです。そして,北朝鮮の円形は,「陰陽を表す」として,太陽ではないとされています。(99.9.23)

Flags Of The World のサイトによると,ラオスの国旗のシンボルは「月」です。バングラデシュはでは,赤円の由来は書かれていませんが,「太陽」としては分類されていません。韓国のシンボルについても「陰陽を表す」ということです。『世界の国旗事典』で韓国のシンボルが「太陽と月を表す」というのは,陰陽を「月と太陽」に当てはめた解釈だと思われます。北朝鮮の白円についても,「太陽」としては分類されていません。(99.9.23)

 また北朝鮮国旗の白円を太陽とするなら,チュニジア国旗の白円も太陽としなければなりません。


◎バングラデシュ国旗と日の丸

 バングラデシュの国旗は日の丸にそっくりです。これは偶然とは考えられません。バングラデシュ最初の国旗(1971)は,国の形が入ったものでした。(by Zeljko Heimer,FOTW)

 しかし,この国旗は作るのが面倒なので,翌年には地図のない現在の国旗が採用されました。

 このことを考えると,「結果として日の丸に似てしまった」と考えられますが,「日の丸を真似した」という理由は考えられないでしょうか。

 1972年に初代首相ムジブル・ラーマンは国家4原則として〈社会主義,民族主義,非宗教主義,民主主義〉を宣言して,同年末に発布された憲法にも明記されました。国旗の赤は社会主義を意味している可能性もあるわけです。また緑色が「大地の緑」とされているのも,「非宗教主義」と関連あるのでしょう。(しかし,パキスタン国旗の緑はイスラム教を象徴していることも否めません)社会主義はともかくとして,「民族主義・悲宗教主義・民主主義といえば,日本である」というのは考えすぎでしょうか。また,第二次世界大戦で日本は,インドにおいてはインドを植民地化していた英軍と交戦したのであり,自由インド仮政府や当時のインドのひとたち(バングラデシュも当時は英領インドの一部)にとって,日本の印象はそう悪くはなかったのかも知れません。

 パキスタンの政権は,独立後もよく入れ替わり憲法も変化しましたが,「非宗教主義」も変化したらしく,現在OIC(イスラム諸国会議)加盟国であり,また赤十字旗は使用せず,赤新月旗を使っています。

 




・40ぺ 文章中(第4版)  ミスプリント
 「ウルグアイの国旗の中にある太陽は省略することができます。」とありますが,ウルグアイではなく,アルゼンチンの間違いです。「World Flag Database」によると,アルゼンチンの正式な国旗は,「太陽の図案が入っていないもの」で,太陽の図案が入っているものはState flag(政府旗?)といって,「政府や国外での政治的職務の際に掲げられるもの」とのことです。ただアルゼンチンについては,State flagが慣習的に国旗として使われるようになっているとのことです。(99.9.1)


・41ぺ 「天球と星座のマーク」

 ここは,ボクが一番苦労するところです。なぜなら「天球」と「星座」の説明が大変だから。これが,本当にわかってもらえない。やはり模型が必要なのか・・。うーん,まず自分で調べるしかないなぁ・・。「星座」も,なかなかわかってもらえません。★がいくつかついている国旗を生徒さんたちはみんな星座だといいます。「いいや,こんな星座はないの」といい続けるボク。実は,国旗の中の星座は「南十字星」しかないので,「南十字星という星座が入っている国旗はどれでしょう」と聞いた方がよいのではないでしょうか。42ぺに「まず目立つのは,〈南十字星〉です」とありますが,この表現は正確には間違いです。

 国旗ではありませんが,南十字星以外の星座を旗にしたものは,アラスカ州旗があります。この旗のデザインはインディアンの少年です。

by Zeljko Heimer(FOTW)


 このように星座を国旗にしたものがほとんど無いのには,ちょっと驚きます。おそらく南十字星も「星座」というよりは,その十字の形からキリスト教という意味で入っているのでしょう。





・42ぺ 西サモアが国名変更(第4版) 国名の変更
 「World Flag Database」によると,1997.7月に国名を西サモアから「サモア」に変更したそうです。(99.9.13)


・43ぺ 似ている国旗

 授業書で出てくる組み合わせの他に,生徒さんたちから必ず出てくるのは「オランダとルクセンブルク」です。

オランダ王国

ルクセンブルク大公国

 ふたつの国旗は縦横比が違うだけで,配色は同じです。ただルクセンブルクの青は「オランダ国旗の青よりもうすい青」を使っていますが,色としては「青」と表示されるのがふつうですから,そっくりな国旗です。ルクセンブルクのこの三色は1200年代から大公の紋章に使われていた色です。1815年より,大公の位はオランダ国王に属することになりましたが,1839年に政治的に独立。1848年からはこの三色を使った旗が使われましたが,正式に国旗として採用されたのは,1972年でした。


 インドネシアとモナコは,配色が同じだけでなく,『ALBUM 2000』によると,赤の色合いも全く同じです。

 モナコ公国の国旗は,1881年に制定されたもので,その配色はその地を支配していたグリマルティ家の紋章からのもの。インドネシアは1945年のオランダ植民地からの独立で国旗を制定。赤と白は「1200年代のインドネシア帝国の色」と言われているが,オランダ国旗の上部の2色でもある。

・45ぺ チャドと「ルーマニア」

 ここではまだルーマニアの国名は「後で出てくるまで待っていてください」となっていますが,生徒さんたちには「同じ国旗があるか」と国旗一覧表で探してもらうので,実際の授業でここで「内緒」にすることは不可能です。ただ「なぜ同じなのか」という理由は,後で出てくるまで「内緒」です。


・46ぺ〜48ぺ 国旗と国章

 「国章をのぞくと全く同じになる国旗」として,メキシコとエジプトの問題を出していますが,答えではメキシコしか出てきません。国章をのぞくとエジプト国旗と同じなのはイエメンです。また,そのほかにも縦横比を気にしなければ,次のような国旗があります。

国章を除くと スロバキア,スロベニア エクアドル タジキスタン パラグアイ・クロアチア アルゼンチン,エルサルバドル,ニカラグア
同じ国旗 ロシア コロンビア ハンガリー(ちょっと違うか) オランダ  

・イタリアとメキシコの国旗

 48ぺには「イタリアとメキシコの国旗が似ているのは偶然ですが」とありますが,イタリアの国旗を参考にした,少なくともイタリアを嫌いではなかったことはたしかです。というのも,メキシコはローマ教会を国教としたかったからです。イタリアの国旗の三色のいわれについては,詳しいことはわかっていません。



・パスボート

 外国の人が日本のパスポートを見たら,「日本の国章は菊紋だ」と思うでしょうね。でも,菊紋は天皇家の家紋です。



・56ぺ 「アフリカの国ぐに」 図版の場所がおかしい
 この図版は,本文の内容からいうと,62ぺ〜63ぺに関係するもので,64ぺに入るべき図版でしょう。(99.9.23)

・50ぺ〜52ぺ 国旗と国章 
 エクアドルの国旗について,「World Flag Database」によると,「国章がはいっていないのが国旗だが,コロンビアの国旗と縦横比以外は同じで紛らわしいので,海外では国章の入ったstate flagを使うのが一般的。」とあります。また同様に,グアテマラとコスタリカは,国章の入っていないものが国旗で,入っているものはstate flagとなっています。エルサルバドルでは,国章の入っているのがstate flagで,国旗(national flag)の記載がありません。ニカラグアは,国章の入っているのが国旗とされています(state flagの記載はなし)。

 「Flags Of The World」によると,エルサルバドルの国旗として示されているものには,国章が入っていません。コスタリカの国旗も国章のないものです。グアテマラとニカラグアは,国章の入っているものが載っています。

 このように授業書の記述とは,微妙に異なる点もありますが,国章の入っていない旗が,より広く国旗として認知されているようです。(99.9.24)

・54ぺ ハンガリーの「穴あき国旗」について

 ハンガリーでは,1956年の反政府デモのときに民衆は国章を切り抜いた穴あき国旗を掲げていました。「Flags of the World」によると,その穴あき国旗は現在でも「政治犯協会(?)」で使われているそうです。またその協会の機関紙の名前が「The Hole」だそうです。(99.10.6)


・55ぺ ルーマニアの国旗の変遷について

 授業書では「旧ルーマニア1947〜89年」として古い国旗が描かれていますが,実際にはその間にも国旗は何度か細かく変更されているようです。「Flags of the World」に基づいて変遷を詳しく書くと,以下のようになります。また,こういった国旗が使われたのは,1947年からではなく,1948年からとなっています。

・1948  国章に「RPR」(「ルーマニア社会主義共和国」の意味)の文字,赤い星はなし。
・1952.9 国章に「RPR」の文字と赤い星。
・1965.8 国章に「ROMANIA」の文字と赤い星。

 さらに授業書に載っている国章とホームページの1965年の国章は,ちょっと異なっています。授業書の国章には「REPUBLICA」「SOSIALISTA」などの文字も入っていますが,ホームページのものには,「ROMANIA」だけです。
 また,ルーマニアの革命旗である国章を切り取った「穴あき国旗」は,三色旗に戻ることが決められるまで事実上国民の国旗だったそうです。またこの「穴あき国旗」は,クリントン米大統領にプレゼントされたそうです。(99.10.6)



・59ぺ サウジアラビア国旗変更か

  「World Flag Database」にあるサウジアラビアの国旗は,デザインが微妙に異なります。剣の柄の部分が違うのです。また 「Flags of all the states」には,この件について「国旗変更か?」という記載があります。
 また,サウジアラビアの国旗にも「アラー」などの文字があるので,「商業的,特に衣服などに使うことは,冒涜とみなされる」という注意がありました。また文字が入っている国旗のため,国旗の表と裏は同じデザイン(裏返しにしない)になり,必ず剣の柄のほうに旗竿がくることになるそうです。(99.10.2)


・62ぺ エチオピア国旗変更(第4版)

 エチオピアの国旗は1996年2月に,三色旗の中央に☆型の紋章がはいったものに変更になりました。「Flags of all the states」には「エチオピアには,14陵星の紋章があり,それは14の州を表していた。今回の国旗の変更は,その紋章を思い起こさせる星型の紋章を国旗に入れて,その州の一つであったエリトリアが独立したことに抗議する意味合いもあるのではないか」ともあります。なるほど「戻ってこいよ」といっているわけですね。でもエリトリアの国旗は,エチオピアの国旗と全然似ていないので,エリトリアにはそんな気はないのでしょうが。(99.10.2)


・62ぺ ルワンダ国旗の「R」の字体

 授業書では「R」となっていますが,「Flags of all the states」によると,どうやら書体は厳密に定められてはいないようで,一般的にはゴシック体のように文字に「ひげ」がついていないサンセリフの「R」がよく使われるようです。『世界旗章大図鑑』でも「R」です。(99.10.4)



・65ぺ スリランカ国旗の図案(第4版)

 授業書のスリランカ国旗にある4つの葉には,葉脈が描かれていますが,同じようにスリランカの国旗を表現している資料は全く見あたらないのですが・・・。(99.10.4)


・68ぺ イラクの国旗の図案(第4版)

 授業書では,アラビア文字の部分を黒で塗るように示されていますが,文字も☆も緑色に塗るのが正しい配色です。また授業書の図では,文字の部分が「Flags of all the states」などで見るのと比べて簡略化されているように思えます。(99.10.4)


・74ぺ モザンビーク国旗の図案(第4版)

 授業書では,モザンビークの国旗に紋章が入っていませんが,「World Flag Database」などでは紋章の入ったものが国旗として載っていて,紋章が入っていない国旗は掲載されていません。(99.10.6)

・75ぺ ガイアナの国旗の配色(第4版)

 授業書でオレンジ色に塗るように指定されているところは,黄色の間違いです。(99.10.7)

・75ぺ ジンバブエの国旗の紋章(第4版)

 紋章の部分のデザインが授業書とほかの資料で異なっています。ほかの資料では,台のような部分に波線のような模様が入っています。(99.10.7)

・89ぺ ペルシャの国旗

 このペルシャの国旗の図案は,授業書ではマンガのような感じがするので,本物を見てみたく,インターネットで探しましたが,現在のところ見つけることができません。おそらく授業書で紹介されている『世界国旗大観』に載っているものと思われますが,この1910年発行の本は,古本屋でも見つけることができず,探してみたところ,東大の総合図書館にあることが分かりましたが,東大の図書館では借りることができません。うーん。
 イランの旧国旗は,『世界旗章大図鑑』などにあるのですが,それは三色旗にライオンの紋章が入っているものです。ペルシャの国旗のライオンの紋章も,このライオンと似ているのではないかと思うのですが,授業書に描かれているものとは,感じがかなり違います。
 授業書に出てくる国旗で,このペルシャの国旗だけが掲示用のものを作ることができません。うーん,悔しい。(99.10.9)

 板倉研究室へお邪魔する機会がありましたので,『世界国旗大観』を見せていただくことができました。そこには,まさしく授業書と同じものが載っていました。板倉聖宣先生がお持ちの他の古本もいくつか見せていただきましたが,ペルシャの国旗は本によってまちまちです。大きな太陽の中にライオンを描いたものもたくさんありました。どうやらペルシャの国旗は「太陽とライオン」ということだけがたしかなようで,細かいところまでこだわる必要が当時はなかったようです。シャムの国旗の象が,どの本にもきちんとあったので,「当時の日本人は,象は知っていてもライオンを知らなかったから,こんな絵になったのではないか」と板倉聖宣先生にお聞きしたところ,「いや,こういった本は,ほとんどが外国の本をそのまま写しただけのもののはず」とのことでした。
 板倉研究室には,『世界の国旗』にも載っていない国旗関係の本がたくさんありました。「俺は,今でも国旗の権威だからね。でも,なんで俺がやらなきゃならないのかね。」と先生,「そりゃ,板倉先生でなければできませんよ」とボク。(99/11/24)


◎授業メモ

・国旗に使われている色

 授業でスリランカの国旗が出てきたとき,生徒さんたちは「色鉛筆に茶色がない」とパニック状態に。茶色が使われている国旗はあまりありません。「ピンク色の国旗ってないんじゃない」「紫色もないよ」との声もあり。たしかにピンクは使われていません。「日本の新しい国旗にピンクを使おう」と喜ぶボク。前にも「世界で一番たくさんの色を使っているのが,南アフリカ共和国の6色だから,日本の国旗は虹を描いて地の白と合わせて8色の国旗にしよう。そうすれば,世界一カラフルな国旗だ」といったら,生徒さんに冷たく「そんなんで世界一になってどうするの」といわれました。(99.10.9)


・「アフリカの色」「アラブの色」「ヨーロッパの三色旗」には感動

 アフリカの国旗が「緑・赤・黄」で共通していることには,図版を作っていて感動しました。「共通の色を使う」という事実から,それぞれの国民の思いが伝わってくるようだったからです。「アフリカはひとつになる」 でも,そうなるとこんどはコンゴ民主共和国の国旗が異質なのがとっても気になってきました。まあこの国は,今までにも何回か国旗を変えてきていますから,おそらく将来「緑・赤・黄」の配色になるのではないかなという予想が立ちます。こうなると,たのしみです。

 アラブ諸国の「赤・白・黒・緑」の共通色にも感動しました。みんな同じ民族なのに,国が分かれている。でも,統一への思いは確かなのですね。「緑はイスラム教,赤は革命での血でしよ。じゃ,黒はなに」とう生徒さんの質問に,調べてみると,「黒は植民地だった暗い過去の象徴と敵の敗北の意味」(『世界の国旗全図鑑』)ということで,「過去の恨みは忘れないぞ」というちょっと怖い旗かもしれないと思いました。
 そして黒板に貼ったこれらアラブの旗の中に,イスラエルの国旗を入れると,ほんとうにイスラエルの旗が異質なのがよく分かります。「彼らが和解するためには,イスラエルの国旗の中に赤や黒を入れる必要があるかもしれない。」と思いました。

 「ヨーロッパの三色旗」にも,生徒さんたちはえらく感動していました。だって過去の戦いや社会主義と資本主義の反目などに関係なく,国旗は三色旗で似ているのですもの。めざとい生徒さんはEUの旗を見つけてきました。「ヨーロッパは将来その旗の下,ひとつの国に統合されるんだよ」といったら,みなさん「信じられない」という表情でしたが,改めて三色旗の事を考えて,「そうかもしれない」と納得するのでありました。
 「そういうことがどんどん進んで,やがて世界はひとつの国になってしまうんじゃないかな。そうしたら,戦争もなくなるでしょ。」とったら,カツヤ君が「世界がひとつになる前の過程で,いくつかの大きなプロックに分かれるでしょ。そのとき,そのブロック同士での戦争が起こるかもしれない」といいました。うーん,それはありそうで怖いなぁ。ヨーロッパ連合,アラブ連合,アジア連合にアメリカ連合かなぁ。

(99.10.9)


・パキスタン国旗の白の意味

 パキスタンの国旗は,回教国らしく緑色が基調ですが,左側の一部が白になっています。『世界の国旗全図鑑』によると,この白色は「回教徒以外の国民を表す」ということだそうです。つまりパキスタンでは,回教徒以外の国民のこともちゃんと配慮してくれているわけです。アルジェリアも半分が白なので,もしかすると同じ意味かもしれません。回教徒以外の人は,緑一色のリビアなど暮らすには大変かもしれませんが,パキスタンでは少しはまし? それとも回教徒と異教の国民との民族問題があるから,わざわざ白を入れたのか。そうすると,かえって大変な国になるなぁ。そこで調べてみると,パキスタンでは「回教徒が人口の97%」。たった3%でしかない異教徒を配慮したとは,すごい。だがしかし,ほかの三日月の国にの回教徒の割合を調べてみると,アルジェリア99%,チュニジア99%,モーリタニア99%,モルジブ100%など,パキスタンの97%は,「回教徒の割合が少ない」といえるのかもしれません。(99.10.9)


・テスト

 4年生で授業書が終わり,テストをしました。いつものように授業書の問題をそのままテスト問題にしていったら,ものすごい問題数となりました。なにせ授業書が100ぺ以上もあるからなのです。テストでは,「世界の国旗一覧表」を渡して,それを見ながら答えてもらうようにしましたが,やはり問題数が多すぎたらしく,時間内に全部解けた生徒さんは,ほとんどいませんでした。そこで時間を延長してやりましたが,ちょっと問題数が多すぎたと反省。
 また「世界の国旗一覧表」は,『イミダス』の付録をカラーコピーして使ったものですが,そこには紋章の入った国旗が載っているので生徒さんたちが迷うことが多く,授業書にあった国旗一覧表の必要性を感じました。(99.10.28)


・「新しい日本の国旗」

 生徒さんたちが「新しい日本の国旗」を作ってくれました。それをPDF形式で公開します。(99/10/31)

 NEWFLAG.PDF 15KB ここをクリックするとダウンロードします。

 新国旗2002.PDF 252KB   2002年度の生徒さんたちの作品です。生徒さんたちのお名前は仮名です。

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 Acrobat Reader4.0は,下のボタンからダウンロード(無料)するか,雑誌の付録などから入手してください。

 

・85ぺ[問題3]1910年の独立国の数

 『世界国旗大観』に載っている国旗の数を聞いているわけですが,実物を見せたいものです。そこで『世界国旗大観』を購入したのですが,しみがひどく,また軍艦旗なども載っていたので,問題の答えとしては混乱するおそれがあります。そこでこの本より,国旗図版だけを取りだして,表をつくりました。しみがひどかったため,国旗の色は修正してあります。

 国名の一部にミスがありましたので,訂正しました。 2001.12.23


 「約100年前の国旗一覧」 1910flags.PDF 208KB 

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