項目 |
割合 |
やめてよかった |
44.3% |
少し後悔している |
37.5% |
やめなければよかった |
5.7% |
そのほか |
8.5% |
無回答 |
4.0% |
『府立高等学校退学者実態調査報告書』より
■授業を魅力的にするしかない
さて,「中退者が多い」ことを,どう考えればよいのでしょうか。
高校の先生は,「何とかして中退者を少なくしよう」と頑張っているようですが,本当にそれが正しいのかどうか,私には疑問です。私は,「頭の悪い子どもまで高校に進学させるのは間違っている」などという議論には賛成しませんが,「高校程度の教育はぜひともすべての子どもたちに受けさせるべきだ」という議論にも賛成できないからです。中学を卒業したときに「みんなと一緒に高校に進学したい」と思うのなら,進学させてやったほうがいいでしょう。しかし,実際に高校に進学してみて,「こんなところに来て勉強させられるのは嫌だ」と思うようになるのなら,中途退学させてやってもいいと思うのです。現実の高校ではたのしい授業が実現できていないのに,すべての生徒たちを無理やり高校に引き止めておくのは間違っていると思うのです。
多くの人々が「せめて高校教育ぐらいは受けさせてやりたい」というとき,「その程度の教育内容は身につけてさせてやりたい」という意味で言われていることは,まずないようです。「人並みの教育」だけが問題になっているのです。
しかし,そんな,うわべだけの「人並み」の教育など,ほとんど意味がありません。子どもたちも高校に入ってみて,みずからそう感ずるから「中退してもいい,中退したほうがいい」と判断するのでしょう。私たちは,そういう現実の中で,真に学ぶに値する,教えるに値する教育内容を積み上げて,高校生たちに魅力ある授業を実現するよりほかないと思うのです。
板倉聖宣 「高校を中退してよかった」という高校中退生 『たのしい授業』No.109 より
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