アンテナ探検隊


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 身のまわりにたくさんある様々なアンテナ。でも考えていくと不思議なことだらけ,目には見えない電磁波をアンテナで調べていこう。まだまだ謎だらけです。いい本がないかなぁ・・・。

進展状況

内容は日々少しづつ追記訂正していますので,ご注意ください。まとまった大きな更新だけをここに載せておきます。

日付

内容 コメント
99.5.28 関連図書発注 「折り返しダイポールアンテナ」の原理を理解すべく,いままで注文しなかった分の本を全部注文しました。しかし,売っている本だけではどうにも足りない。
99.5.25 アンテナはどこに 路側通信のアンテナを発見。
99.5.16 新幹線のアンテナ

文献追加
「はみだしたな」にのせていたものをこちらに移動してまとめました。

『アンテナ工学ハンドブック』をようやく入手。
99.5.7 アンテナはどこに たのしく読める本からの「はみだし」。
99.4 自動車のアンテナ
携帯電話のアンテナ

文献追加
モノポールアンテナの原理が判明。

『図説・アンテナ』は現在一番役に立っている本。


■不思議不思議

◎文献一覧(興味関心を持ったもののみ,あげておきます。)

 *1 後藤尚久 『アンテナの科学 電波の出入りを追う』 講談社ブルーバックスB679 1987.3
 *2 「高性能型UHFカラーテナー仕様書」 マスプロアンテナ
 *3 板倉聖宣「テレビアンテナ物語」 『自然界の発明発見物語』新総合読本4 仮説社98.12 1800円
 *4 電気通信振興会編 『アンテナおよび電波の伝わり方』 電気通信振興会 97.6 2000円
 *5 後藤尚久 『図説・アンテナ』 電子情報通信学会 4485円 
 *6 電子情報通信学会編 『アンテナ工学ハンドブック』 オーム社 1980.10 1,8000円


◎アンテナはどこで電磁波を受け取っているのか ボクの最初の疑問

 テレビのアンテナはふつう「ヤギアンテナ」という形式のものが使われています。これはVHF用とUHF用で形や大きさが違いますが,基本的な構造は同じです。アンテナからはアンテナコードがのびてテレビなどにつながっています。では,このアンテナコードはアンテナのどの部分につながっているのでしょうか。つまり,アンテナはどの部分で電磁波を受け取っているのでしょうか。

予想

 ア アンテナ全体
 イ 横棒全部
 ウ 縦棒
 エ 横棒の一部
 オ そのほか


 これはボクが子どもの頃から持っていた疑問でした。ボクの予想は「ア」でした。なんとなく「アンテナは大きければ大きいほど効率がよい」という感じがしたので,「アンテナ全体で電磁波をうけているに違いない」と思っていたのです。それが大人になってから,アンテナの実物を見て,とても驚きました。それは縦棒がプラスチック製だったからです。つまり縦棒では電磁波を受けることができないのです。横棒はすべて金属製でしたが,さらに驚いたことには,横棒同士が電線などでつながれていないのです。そして,アンテナコードは一部の横棒だけにつながれていたのです。つまり「電磁波を受けてテレビに送る」というアンテナの働きをしていたのは,ごく一部だけだったのです。それなら他の部分は何のためにあるのでしょうか。実はこのアンテナの構造こそが,「ヤギアンテナ」の発明だったのです。

 ヤギアンテナについての説明は,

 板倉聖宣「テレビアンテナ物語」 『自然界の発明発見物語』新総合読本4 仮説社98.12 1800円

をぜひご覧ください。とてもたのしく読めると思います。


 ヤギアンテナについての説明は,板倉先生の文章を読んでいただきたいと思います。ただ60ぺの図は「導波器」と「本体」の説明が逆になっています。左の図が正しいものです。
 アンテナコードがつながっているアンテナ本体以外の金属棒に電磁波があたっても,金属棒は電磁波を反射するだけです。そうして反射した電磁波をうまくアンテナ本体に集めるようにしているというわけです。(金属棒の短い導波器は電磁波を後ろに放射して,金属棒の長い反射器は電磁波を前に放射します。)もし強力な出力の電磁波を発生させれば,導波器や反射器から火花が出て本体に集まってゆく様子が見えるかもしれません。

 アンテナの縦棒のことはブームというようです。またこのブームが金属製のものもありますが,導波器とはしっかりと絶縁されています。



アンテナ本体はどうなっているのか

 アンテナ線には「同軸ケーブル」と「平行フィーダー」という2種類があるようですが,どちらも2本の導線を使っています。ただ同軸ケーブルでは,中心の銅線を取り囲むように絶縁体があって,その周りに網状の銅線がある構造になっています。この2本の導線はアンテナの本体にどのように接続されているのでしょうか。


予想

 ア 環形のアンテナ本体にただ2本が接続されている

 イ アンテナ本体は1本の線で,その両端に接続されている

 ウ アンテナ本体は2本の線で,それぞれに接続されている




 


 ボクが見たアンテナ(東芝製VHF用アンテナ)では,一見すると図イのように見えるのですが,よく見ると図ウの切れ目のところをコイルでつないでいるのがわかりました。コイルは交流電気,特に高周波の交流電気を通しませんので,テレビ放送電波のような周波数の高い電波についてアンテナに発生した電流にとっては,コイルを通ることはできませんので,図ウと同じ事になります。
 ではなぜわざわざコイルで結んでいるかというと,ボクが思うに,放送電波よりも周波数の低い電磁波による妨害を防ぐためではないかと思うのです。
 しかしながら,テレビ用の室内アンテナには図イの形のものもよく見ることができます。イとウでは,どちらがもともとの形なのでしょうか。そして,その性能の違いは???

 

 UHF用のアンテナでは,アンテナ本体が輪のような形ではなく,左の図(反射器は省略)のように2本の横棒となっているものも多いようです。おもしろいことに,このアンテナ本体に使われている金属の筒状の棒は,両端が閉じられたりキャップでふさがれているのです。導波器や反射器に使われている金属の筒状の棒では,そういうことはありません。これもなぜだか気になります。

 さてこういった形のアンテナ本体は,どういうようにアンテナコードと接続されているかというと,やはり図ウの形なのです。図で四角く書かれているプラスチックの箱を開けてみると,アンテナ本体は2本の棒ではなく,4本の棒であることがわかります。そして短い方のアンテナは,何にも接続されていません。これは導波器の役目を果たしているのでしょうか。長いほうのアンテナには,それぞれアンテナ線が接続されています。

 実は,このアンテナの形こそが,もっとも基本的なアンテナの構造であるダイポールアンテナなのです。ダイ(=2)ポール(*注 参照)を使ったアンテナというわけです。『アンテナの科学』では,このダイポールアンテナをもとにして,いろいろな説明がされています。でもわからないのは,なぜアンテナによっては,この形を図イや図ウのようにする必要があるのかということです。

 *注 ボクは「ポール」というのを「柱」と思っていましたら,ほかの本を読んでいくと,「ポール=極」という説明がありました。「ダイポール=ふたつの極」だったわけです。「ふたつの極」とは,2本のアンテナにそれぞれプラスとマイナスの極ができるからです。

 また「高性能型」というアンテナでは,小さい方のアンテナと大きい方のアンテナをコイルみたいな配線パターンでつないでいる構造のものもあります。「位相器を内蔵」ということらしいのですが,よくわかりません。さらにこの構造をよく見ると,上下のアンテナ同士がコンデンサーみたいな配線パターンで結ばれているではありませんか。コンデンサーは高周波交流をよく通しますから,ここで電流が流れそうな気がします。ますますわかりません。


    

ダイポールアンテナとは

 『アンテナの科学』でボクが理解した範囲では,ダイポールアンテナの仕組みは以下の通りです。

 交流電流はコンデンサー(図a)の間を流れることができます。コンデンサーの端子の間の何もない空間を電流が流れることになります。空間を交流電流が流れるということは,それは電磁波を放射しているというのと同じことです。しかし,ここで発生する電磁波は,ほとんど打ち消しあってしまってコンデンサーの外部にはほとんど出ていきません。このコンデンサーの端子を図bのようにしても同じ事で,端子の間には電流が流れます。こういう形では,流れる電流は少なくなるのですが,電磁波は外にたくさん放射されるようになります。これはダイポールアンテナそのものです。より多くの電磁波を発生させるためには,共鳴を利用します。ダイポールの長さが発生させる電磁波の半波長の時が一番効率良く共鳴するので,これを特に「半波長ダイポールアンテナ」といい,アンテナの基本構造になっています。


◎アンテナの向き

 ふつうのアンテナは素子(導波器・反射器・本体の金属棒)が地面に水平になるように設置されています。これは,放送局から送られてくる電波が水平方向に振動しているからです。しかし,アンテナによっては素子を地面に対して垂直に設置しているものもあります。これは垂直方向に振動する電磁波をとらえるためでしょう。ボクが住んでいるところでは,新聞のテレビ欄に載っているチャンネルの電波は水平方向に設置したアンテナで受信するようになっています。でも,アンテナを垂直にして垂直方向に振動する電波(垂直偏波)を受けるようにすることもできます。水平方向に振動する電波を出す電波塔が遠いのでテレビの写りが良くなく,近くにある垂直偏波を出す電波塔に向けた方がよく写るのです。
 しかし,垂直方向に振動する電波が,水平なアンテナでは受信できないかというと,そんなことはありませんし,また逆に垂直の素子のアンテナでも水平に振動する電波をちゃんと受信できたりもしています。このあたりは程度の問題みたいです。

 では,ここで問題です。

 「FM放送の電波は地面に水平な波でしょうか,それとも垂直な波でしょうか。」

予想

 ア ほとんどは水平な波
 イ ほとんどは垂直な波
 ウ そのほか


 これも,ボクがずっと疑問に思っていたことなのです。この答えは電波を受信するアンテナを見るとわかりそうな気がしますが,どうでしょうか。FM放送を受信するラジカセなどのアンテナは,ふつう地面に対して斜めに延ばします。垂直にしたりもしますが,ふつう地面に水平方向にはしません。また自動車についているアンテナも,ふつう斜めに延ばします。しかし,テレビアンテナのように屋根に取り付けるFM放送のアンテナは,テレビアンテナと同じヤギアンテナで,地面と水平方向に素子を取り付けるのです。だから,FM放送の電波は,地面に水平方向に振動する波だと思うのですが,どうしてラジカセや自動車のアンテナは,斜め上方向にアンテナを延ばすのでしょうか。また高級車などについている窓ガラスに貼るアンテナでは,水平方向に取り付けてあるのがわかります。

予想

 ア 自動車などは移動するため素子を水平にしたのでは感度の差がありすぎるから
 イ ヤギアンテナなどとは全く違う原理だから
 ウ そのほか


 さらに自動車用のテレビアンテナでは,2本のロッドアンテナを2組使っているようで,ますます不思議なアンテナです。さらにさらに,「ア」の理由ならば,家庭用のヤギアンテナよりも感度が落ちても良さそうなのに,カーラジオはカーテレビは,家の中のラジオやテレビよりも感度がよいのです。なんで???さらに言うならば,家庭用もあの大きなヤギアンテナなど使わずに,カーテレビ用のロッドアンテナにしてしまえばよいと思うのですが,なぜヤギアンテナを使うのでしょうか。



◎ヤギアンテナでないアンテナ

 ラジカセや自動車のアンテナは,ふつうロッドアンテナといって1本の棒です。「アンテナの基本はダイポール(2極)」なのに,どうしてラジカセなどはアンテナが1本(単極)なのでしょうか。

予想

 ア 実は本体の中にもう1本アンテナがある
 イ ダイポールアンテナとは違う原理のアンテナ
 ウ そのほか



 『アンテナの科学』では,ほとんどこの形式のアンテナについては述べられていません。ただひとこと次のような記述があるだけです。

 現在,中波放送に使われている送信アンテナは,半波長ダイポールアンテナを半分にした構造である。大地を導体とすると半波長ダイポールアンテナと同じ特性を持つが,ダイポールの半分であるため「モノポールアンテナ」といわれる。(216ぺ)

 どうやら大地とアンテナとの間に電流を流している構造のようです。こうした「大地を導体とする」という説明は,サイエンスシアターシナリオ原作 板倉聖宣他『電気となかよくなろう 後編 電流を上手に使う法』(板倉研究室)を読んでいなかったら,ボクには全く理解できなかったと思います。ラジオなどのアンテナは,モノポールアンテナで,ダイポールアンテナの片側にアースを使っていたというわけです。




自動車のアンテナ
 タクシーについている無線のアンテナは,車の屋根の上に垂直に取り付けられています。これは垂直偏波を使っているからです。なぜなら垂直偏波は水平面上において無指向性だから,動き回る自動車との無線に適しているからです。このアンテナはモノポール(単極)・アンテナです。でも,原理はダイポール・アンテナと同じです。ではもう一つの極はどこにあるのかというと,自動車の金属製のボディがアンテナの役割を果たしているわけです。
 この原理は,カーラジオのアンテナとも共通すると思います。つまりどちらもボディがアースとしてアンテナの役割を果たしているわけです。車のボディ全体がひとつのアンテナだとすると,ヤギアンテナなどよりもずっと大きなアンテナということになります。だから家庭用のヤギアンテナよりも感度がよくなるのだろうと思われます。
 では,カーラジオ用のアンテナを斜めに伸ばすのは,どうしてでしょうか。FM放送電波は,水平偏波ですので,アンテナは地面に水平にした方がよいはずです。しかし,自動車は動くものですので,自動車に水平なアンテナをつけると,自動車の向きによっては,電波を受信しずらくなってしまいます。それを防ぐために斜めに伸ばしているのでしょう。

 またカーテレビ用のアンテナが2本一組のが2つ使われていることも気になっていたのですが,これはおそらくダイバシティ方式のアンテナらしいことがわかりました。ダイバシティ方式というのは,〈たくさんのアンテナを設置して,一番良好に受信できるアンテナを切り替えながら使う方式〉のことです。自動車は常に移動しますから,こういった方式のアンテナを使うわけです。


携帯電話・ポケットベルのアンテナ

 『図説アンテナ』によると,携帯電話やPHSのアンテナは,モノポールアンテナですが,ケースがアースになっているようです。それで,携帯電話はみんな似たような形と大きさをしているのでしょう。また,そのアンテナの一部であるケースを携帯電話の電磁波から見れば導体である手でにぎったり,頭に近づけて使うので,〈送受信の電波の状態は,完全には解明されていない〉とのことです。つまり未来では,携帯電話の形はまったく違ったものになる可能性もあるということでしょう。

 ポケットベルも無線機器ですので,アンテナがあります。それはループアンテナを半分にしたような構造のもので,機器の中に収められています。これも,「導体である体に平行させて使う」ように,体がアースの役割を果たしているようです。



つづく 

アンテナはどこに

 現在アンテナについての研究を進めています。

 電波開発利用研究会編 『新版 電波読本 見えない電波が見えてくる』 クリエイト・クルーズ 89.6

は,ボクが知りたい研究には,ほとんど役立ちませんでしたが,電波全般について書かれていて,わかりやすくてたのしい本です。そこからの「はみ出しネタ」をちょっと紹介します。


◎道路情報のアンテナはどこに

 高速道路などを走っていると「道路情報1620kHz」という表示を見かけます。ボクはそのたびに「どこにアンテナがあるのだろうか」と目を凝らしているのですが,それらしいものを発見したことがありません。しかもこのラジオ放送は,ふつうのラジオ放送とは違って,〈放送範囲内にはいると唐突に受信できて,範囲外に出るとすぐに切れる〉というものなのです。「受信可能範囲の中央にアンテナがおいてあるにしては変だなぁ」とボクはいつも思っていました。
 この答えは,「道路を通行する自動車のみが通信でき,他に電波が飛んでいかないようにするため,道路に沿って漏洩同軸ケーブルと呼ばれるケーブルを設置し,これをアンテナとして使用して通信が行われている。このため路側通信の名前が付けられた。」とのことでした。なぁんだ,ケーブルをアンテナとして使っていたんだ。今度はケーブルを探そう。(99/5/6)

 発見しました。今度はケーブルを探したところ,簡単に見つかりました。一度見つかると,今度はなんでいままで気がつかなかったか不思議。やはり「見れども見えず」なんだなぁ。路側通信のアンテナは,中央分離帯に沿って設置されていました。分離帯の上に2メートル間隔ぐらいで棒が立てられていて,その棒に縦に50センチ間隔ぐらいで2本のケーブルが取り付けられていたのです。この方式のアンテナならば,電波はほとんど出てきませんから,アンテナに沿った道路でしか受信できないわけです。みなさまも,くれぐれも安全運転の上,アンテナをお確かめくださいませ。(99.5.25)


◎列車電話

 新幹線には車内に公衆電話が付いていますが,あれも無線のはずです。でも,新幹線にも線路沿いにも,それらしきアンテナは見あたりません。これも上記の路側通信と同じく,線路に沿ってアンテナを張ってあるそうです。だから,新幹線の速度がどんなに高速でも,アンテナとの距離は一定で速度に関わりなく通信ができるというわけなのでしょう。今度新幹線を見るときには,線路と平行に設置されているアンテナを探してみたいです。

 ところで新幹線の中でも携帯電話は使えるのでしょうか。(99/5/6)

 山本海行さんから「トンネル以外なら携帯電話はふつうに使えます」との情報をいただきました。(5/9)


◎航空機電話

 ボクは,飛行機の中から電話するというのがとても不思議な感じがしていました。この電波はどこで受信されているのでしょうか。本によると,「6ヶ所の無線基地局で日本全国の高度5000m以上の空域をカバーしている」とのことです。無線基地局の所在地が知りたいなぁ。(99/5/6)


◎短波放送でのエコーの謎

 ボクは中学生ぐらいのとき,BCL(外国の短波放送を聞く)をしていました。そのとき放送がよくエコーのように重なって聞こえました。この理由が本に書いてあって,感動してしまいました。「短波放送は電離層で反射して届く。条件がよいときは,地球の反対側を回ってきた放送も届いて,こだまのように聞こえる。」とのことです。ああ,あれは地球の反対側を回ってきた電波だったのね・・・。その「ずれ」の大きさで地球の大きさも計算できそうだなぁ。(99/5/6)


新幹線のアンテナ?

 子どもの頃から気になっていたことなのですが,新幹線電車の先頭車両の上についているアンテナのようなものは何なのでしょうか。500系新幹線電車のように,こういうものがついていない車両もあります。最初ボクは無線のアンテナだと思っていたのですが,そのうち飛行機の翼についている針のように,〈空気との摩擦による静電気を逃がすためのもの〉ではないかと思い始めました。しかし,

 関崇博監修 『しんかんせん』21世紀幼稚園百科5 小学館 94.5(写真も同書より)

を読んでびっくり。図の説明として「アンテナ  でんあつのつよさをしらべます。」とあるではありませんか。何の電圧でしょうか。架線の電圧? でも架線の電圧は,パンタグラフによって接続されているので,わざわざこんなもので調べるまでもないと思いますが・・・。

 これはなんだぁ???(99.5.9)


・静電アンテナ?

 松澤正二ほか監修 『学研の図鑑 鉄道・自動車』 学習研究社

によるとこのアンテナ状のものは「静電アンテナ」と説明してあるではありませんか。静電アンテナとは何だぁ?(99.5.14)


・正体判明

 以前から注文してあった『アンテナ工学ハンドブック』(*6)がようやく届きました。そしてなんとそこに,「新幹線のアンテナ?」の正体が詳しく記されていたのです。
 その正体は「架線電圧検知・構内無線共用アンテナ」です。つまりあのアンテナは,ひとつで架線の電圧を測る役目と,鉄道無線のアンテナという二つの役割を果たしているわけです。架線の電圧は,静電誘導により計測しているので「静電アンテナ」とか「でんあつのつよさをしらべます」という表現は正しかったわけです。ただ,なんでこんな仕組みが必要なのかは,よくわかりません。(99.5.15)



■アンテナを流れる電流

◎フォールデッド・ダイポールアンテナ(折り返しダイポールアンテナ)の謎

 「◎アンテナ本体はどうなっているか」でも書きましたが,ヤギアンテナの本体は図のような形状のものが多いです。このアンテナをフォールデッド・ダイポールアンテナ(folded=折り曲げた)というのですが,このアンテナの原理がわからずにとても苦労しました。だって,「◎ダイポールアンテナとは」にあるように,ダイポールアンテナでは,「離れた2極の間を電流が流れることで電磁波が発生する」のが原理だったはずです。それなのにこのアンテナでは二つの極がつながっているのです。さらに不思議なことに,専門書には図の矢印の向きに電流が流れると説明しているのです。1本の導線に,こんなふうに電流が流れるなんて信じられません。ボクがアンテナの専門書を買いあさったのも,この問題が解きたかったからといっても過言ではありません。




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